ダントツ購買ソリューション「クーパ」が「不確実性の時代における回復力の構築」ウェビナーを開催

投稿者: | 2020年7月3日

クーパジャパン、7月29日に不確実な時代対応のウェビナーとオンラインデモを開催

3大調査会社( ガートナー、フォレスター、IDC)の評価レポートで、ダントツのトップの購買ソリューション「クーパ(Coupa)」が、新コロナ禍の直近対応のみならず、新コロナ禍後(Post COVID-19)に何を行うべきかにわたる提言「不確実性の時代に回復力(レジリエンス力)構築するフレームワーク」を発表しました。そしてそれに合わせて、クーパ・ジャパンのウェビナー(ライブデモ)が開催されます。

不確実な時代となる新コロナ禍後も見据えて、クーパは3つの取り組みステップを定義しています(下図)。それに即して、最新のものを含めたクーパの様々な機能の操作を日本語で目にできます。
申込先:
https://get.coupa.com/Japan_Coupa_Live-Webinar_29July20.html

折しも、5月発表の「2020年ものづくり白書(経済産業省)」でも、「新コロナ禍終息後も不確実性がニューノーマル(新常態)になる」、そのためには「新たな対応力『ダイナミック・ケイパビリティ~感知・補足・変容』が必要になる」との認識が述べられました。さらに世界経済フォーラムは2021年度年次総会のテーマを「グレート・リセット(The Great Reset)」とするとのことです。このような時代の変わり目、不確実性の増加への対応を考える良い機会と、クーパのウエビナーがなると思います。

但しその前に、流行再拡大時に必要となる「緊急対応センター(EOC)」などを含めた今後の対応策と現在の状況を、以降で少し整理してみようと思います。そうすることで、クーパの提言内容の位置づけがより明確にできるのではと考えます。

(内容)
1.新コロナ禍という「クラッシュ型重大危機」の発生と対応
 (1).10年ぶりのクラッシュ型重大危機の到来
 (2).“備え(BCP)”作りに邁進したが、その発動準備はできていたのか
 (3).では、どのように発動したらよいのか
 (4).“モグラたたき”期に突入
2.ものづくり白書2020
 ~「不確実性の時代」と「企業変革力(ダイナミック・ケイパビリティ)」
3.Coupa:不確実性の時代に回復(レジリエンス)力を構築する3ステップ
4.CoupaのWebセミナー: 不確実な時代に支出を見える化する10の方法

1.新コロナ禍という「クラッシュ型重大危機」の発生と対応
~我々はどのような危機に直面したのか

(1).10年ぶりのクラッシュ型重大危機の到来

武漢から拡大した新型コロナウイルス(COVID-19)の感染は、世界的な危機(クライシス)を引き起こし、今も一部地域では拡大が続いています(さらには第二波の到来も危惧もされています)。

では、今回の新コロナ禍は、どのような規模の重大危機に該当するのでしょうか。東日本大震災の際に作成した危機(クライシス)の分類マトリックスを取り出して測ってみましょう[1][2]。このマトリックスでは、「兆候の予知」と「損失の規模」の2軸での分類を考えます。そして東日本大震災は、日本にとって9.11テロ以来の重大危機(クラッシュ型重大危機)になっていると当時定義しました。「クラッシュ型重大危機」とは、損失の規模が莫大であり、発生の兆候が予知できないとともに、先の見通しが立たないという3つの特徴を持ちます。例えば、ハリケーンや台風災害であれば、通過してしまえば、対策に着手できるようになるという見通しが立ちます。

しかし9.11テロはテロの拡大という不確定要素が存在し、東日本大震災は不幸にも原子力発電所事故が発生し、見通しを不明確にしました。それゆえ、対処し難く、爪痕も大きい重大危機となりました。新コロナ禍もこの3つの特徴を持ち合わせます。さらに加えて、地域的な広がり、日常生活への影響から見ればより甚大かもしれません。前述の2つよりも大きな「クラッシュ型重大危機」に、今我々は直面しているのかもしれません。

我々は、東日本大震災以降、近年を振り返っても、台風災害、熊本地震といった自然災害、あるいは工場火災などの事故によるサプライチェーンの分断が生じてきました。しかし、それらの危機(イッシュー型重大危機)やアクシデントに比べて、「クラッシュ型重大危機」には大きく異なる対応が必要になります。

(2).“備え(BCP)”作りに邁進したが、その発動準備はできていたのか

東日本大震災以来、国土強靭化(レジリエンス強化)は政財界挙げての重大テーマでした。例えば、サプライチェーン領域では、サプライヤーを含めたBCPの策定率が国土強靱化アクションプランの重要業績指標(KPI)とされ、2020年に大企業100%、中堅企業50%で策定することが目標としてが設定され、その進捗がモニターされ、策定整備が進められてきました。

サプライチェーンリスクに対する”備え“(事前予測に基づく予防的活動)は、東日本大震災以降取り組みが進み、災害や事故の事態が発生する都度、強化され続けてています。また今後もBCP強化のが政策的にも進められることが報道もされています。

しかし、有事に際して「“備え(BCP)”」の整備を進めるだけで、果たして十分なのでしょうか。

実際には、“備え(BCP)”があっても、それを実際にうまく発動できなければ、精緻に念入り整備した“備え(BCP)”が「宝の持ち腐れ」となってしまいます。すなわち、”備え“を発動させる「クライシスのマネジメント」も、”備え(BCP)“同時に、両輪として整備しておく必要があります。特に先行きが見通せない「クラッシュ型重大危機」への対応では、この両輪が揃っていないと不都合が生じます。

では今回の新コロナ禍で、発動の方、「クライシスのマネジメント」はどうだったのでしょうか。多くの日本企業は東日本大震災以降に“備え(BCP)”整備に励んできました。しかし、クラッシュ型重大危機が発生し、それに対応した本格的なBCP発動は、日本企業にとって初めての経験となりました。従来の地域的災害や事故対応のように取り掛かってしまい、様々な混乱があったことも耳にしています。今後は実施結果を再点検し、第二波、あるいは次のクラッシュ型危機により円滑に対応する教訓としなければなりません。

(3).では、どのように発動したらよいのか

では、”備え(BCP)“の発動はどのように行うべきなのでしょうか。

「パンデミックになるかもしれない。念のために(Just in case)発動の準備をするように」とMITのヨッシ・シェフィー(Yossi Sheffi) 教授が2020年2月18日のウォールストリートジャーナル紙[3]で挙げたのが、次の5項目です。その中でも「統一緊急事態管理センター」が多くの日本企業にとって耳慣れない用語ではないでしょうか。

新コロナ禍(クラッシュ型重大危機)ではサプライチェーンの断絶が大規模かつ複数個所で発生しました。さらに今後もどこまで感染拡大するのかが不明確で、先の見通しが不明瞭となりました。そうなると、サプライヤーから部材がいつ入手できるのか、自社工場の操業をいつ再開できるのかの見通しが曖昧になります。そうなると現状で使用可能な部材と生産能力を使って、どの製品を製造し、どの顧客に提供するのかを判断しなければならなくなります。逆に言えば、供給を断らねばならない顧客が出てしまいます。しかしここで、もし断りを入れてしまえば、危機が過ぎ去った後、その顧客を失ってしまう可能性は高くなります。あるいは事業のトリアージも必要になります。どの事業部門の製品製造・販売を諦めて、どの事業で売上や利益を確保するかを、迅速に判断しなければなりません。一方で、製造・販売を諦めた事業部門の業績は大きくそがれます。クラッシュ型重大危機では、いつまでどの規模での見通しが無いまま、このような事態が発生します。その結果、記事の「2.製品と顧客を棚卸し、優先順位を決定」を行う必要が生じます。

一方で、先の見通しが立たないながらも、状況は刻一刻と変化します。調達を予定していた部材が突然入手不能になったり、反対に調達不能と考えていた部材が突然入手できたりという状況変化が絶え間なく起こります。その状況把握をできす限り良好に行うためには、記事の「5.状況把握のコミュニケーション維持」で鮮度と確度が高い情報を一刻も早く入手し、時機を得た対応ができるようにしていなければなりません。

しかし、いかに情報をうまく収集できたとしても、顧客や事業の選り分け判断を迅速に行うには、特別な機能が必要になります。

その仕組みが「緊急事態対応センター(EOC: Emergency Operation Center)」[4]です。営業・生産・購買の各部門が個別対応を行っていても、そこで顧客や事業のトリアージを行おうとしても、混乱の度合いが増すだけで、おそらくは何も有効な動きが起こせません。それどころか、場当たり対応はさらに状況を悪くしかねません。

そこで必要になるのが、個別部門横断で全体を見渡した経営判断を、即時に行える統一司令塔機能です。

ヨッシ・シェフィー教授はMIT Center for Logistic and Transportation (CTL)所属ゆえに、サプライチェーン領域で緊急事態対応センター(EOC)を考えています。その内容は、上図のようなものと思います。

一方で、コンサルティグ会社のマッキンゼーは、新コロナ禍に際して、サプライチェーンだけでなく企業全体にわたる統一司令塔を設置を「Nerve Center」の名称で、一連のCOVID-19対策論考の中で提言しています。[5] [6]

(4).東日本大震災時に実質的に機能させたトヨタ

では日本企業では、果たして統一司令塔は機能したのでしょうか。「クラッシュ型重大危機」に到らない規模の、危機やアクシデントの対応に慣れてしまっていたこともあり、初動対応で混乱を招いた企業が少なからずあったように聞き及んでいます。購買部門に状況把握や当面の対応を“丸投げ”してしまった結果、「部品が入ってこない」、「工場が止まる」でてんてこ舞いになるまで大騒ぎにならず、大騒ぎになった後はなかなか解決できない事態になってしまった事例は何社も耳にしました。また、日頃から「緊急事態対応センター(EOC)」の概念を持たなかった企業は、落ち着いた対応ができるまでに多大な時間を要し、他社の後塵を拝した事態も多くあるようです。

しかし一方で、日本企業がまったく対応できていないわけではありません。それどころか、東日本大震災の時にも優れた対応した事例があります。

図は、日本経済新聞記事から作成した、トヨタでの東日本大震災での対応事例です[7][8]。トヨタは、東日本大震災発生当日(3月11日)に部門(生産・調達・販売・人事/総務)ごとの対策チームを立ち上げました。そして、その対策チームの部屋を社長・名誉会長が巡回して、全体状況を把握し、判断を下していったとされています。海外企業のように、明確なレポートラインが設定されていたわけではありません。しかし経営トップが巡回することで、統一司令塔の役割を果したと思われます。日本経済新聞の記事は、「トヨタ、1週間で全部品点検」と中見出しを付けていましたが、経営トップのこのような関与も、作業促進要因になっていたのではと思います。

一方で、いくつかのサプライチェーン優良製造業(ガートナーのサプライチェーンTop25)ランキング企業(海外)は、東日本大震災の際に、制度としての「緊急事態対応センター(EOC)」を立ち上げたています。そのうちの1社では、2稼働日後の14日夕までにサプライチェーン情報を収集し、CEO(EOCトップでもあった)が今後24週間の経営計画(販売計画・利益計画)の目途を「腹を据えて」決めて、その達成に向けて調達部門を含めた関係部門すべてが同一方向でアクションした事例があります。

MITの「緊急事態対応センター(EOC)」の概念は、そのような東日本大震災の事例も取り込んで整備されてきたものです。

一方で、東日本大震災の当事国の日本企業ではどうだったのでしょうか。今回の新コロナ禍で初動対応に難があったならば、今後は“備え(BCP)”の強化に加えて、“備え”の発動方法(クライシスのマネジメント)の整備も、これを機に検討していくべきではないでしょうか。

(4).“モグラたたき”期に突入

新コロナ禍第二波の懸念などはあるものの、緊急非常事態の「初動」期の一先ず過ぎ去りし、現在は「応急対応」期に入ったとの見方が広がりつつもあります。ヨッシ・シェフィー教授も、4月27日に「回復に向けたモグラたたきの準備はできてますか(Are You Prepared to Manage a Whack-A-Mole Recovery?)」という題の記事をSupply Chain Management Reviewに寄稿しました[9]。その記事では、以下が提言されています。

  • 企業は、新コロナ禍がグローバルサプライチェーンのどこかで再燃し、沈静化するのに対応するグローバル・モグラたたき(a game of global whack-a-mole)ゲームに直面している。
  • そこでは従来の(安定した環境での)「需要予測」や「生産計画」のアプローチは通用しない。しかし計画なしでは済まない。今後しばらくは対応の柔軟性を持たせた計画を立案していかなければならない。アイゼンハワーの「計画は役に立たないが、計画は不可欠である(Plans are useless, but planning is indispensable)」なのである。そして、スピードと俊敏性(アジリティ)が重要になる。。
  • 部品表(BOM)の各部品に対して、物理的拠点(工場や倉庫など)を含めたサプライチェーンマッピングを行い、経路の明確化を進める。
  • その上で、サプライチェーンの混乱兆候を感知するセンシング(情報収集・感知)機能の強化も図る
  • 統一司令塔の緊急事態対応センター(EOC)と、その現地出先機関の「タイガーチーム(Tiger Team)」の体制を維持する。小規模危機を想定した設定計画をしていたため、その機能不足が見えていたら、要員増強などの強化を図っておく。

現在は、初動の緊急対応を経て、応急対応(持ちこたえていく)時期へと移行しています。初動の緊急対応期には手が回らなかった、今後に備えた対応策の実施などの余裕も見え始めました。ヨッシ・シェフィー教授のアドバイスにもあるように、不足分の強化を考える余地が出てきています。

そしてそのような状況下、Coupaが「不確実性の時期における回復力の構築」フレームワークを提示してきました。

2.ものづくり白書2020~「不確実性の時代」と「企業変革力(ダイナミック・ケイパビリティ)」

5月29日に発表された「2020年版ものづくり白書~不確実性の時代における製造業の企業変革力」[10]は、新コロナ禍に留まらず、より広範囲な視点で現在を「不確実な時代」と定義し、その対応策を論じる内容となっています。要点をあげてみましょう。

・経済は減速し、不確実性がニューノーマル(新常態)だ

今回のものづくり白書では、米中貿易摩擦・保護主義・地政学リスク、自然災害などにより、2018年後半から日本経済の景況感が悪化していることが明示されました。緩急はあるものの2012年から、日本経済は成長軌道を描いてきましたが、そのトレンドが変化したことになります。加えて、新コロナ禍で大規模な景況感の悪化は避けがたくなりました。経済成長の連続性が途切れてしまいます。しかしそれに留まらず、ものづくり白書は問題提起します。ここ数年の大規模かつ急速に世界が変転する状況は、新しい状態に世界が突入したのではないのかと。そして現在の「不確実性」の状態は一過性のものではなく、今後の「ニューノーマル(新常態)」になっていくのではないかと。

・新たな対応力「ダイナミック・ケイパビリティ~感知・補足・変容」が必要になる

その不確実な世界では、従来の ”ものごと正しく行う”ための「オーディナリー・ケイパビリティ(通常能力)」は無論のこと、新たな能力が必要になると、白書は主張します。”状況に応じて正しいことを行っていける”能力である「ダイナミック・ケイパビリティ(状況に応じて迅速に対応できる企業変革力)」が必要になるのだと。さらにその企業変革力を実現するためには、「感知(センシング: 脅威や危機を感知する能力)」、「補足(シージング: 機会を捉え、既存の資産・知識・技術を再構成する能力)」、「変容(トランスフォーミング: 組織全体を刷新し、変容する能力)」の3つが必要になるとしています。

・ダイナミック・ケイパビリティの実現にはDX(デジタル・トランスフォーメーションが不可欠

さらに白書は、この3つを実現するために、デジタル化が不可欠であることも指摘します。

「感知」や「補足」の能力を高めるには、デジタル技術を活用したデータの収集・分析が大きく寄与するとします。そして「変容」では、まさにDX(デジタル・トランスフォーメーションが重要になるとします。

過去からの連続性が立たれた「不確実性の時代」に我々は突入し、新コロナ禍に留まらない、あらゆる不確実な危機やリスクに対応できる回復(レジスタンス力)を、日本企業は身に着けていかねばならないと、今年のものづくり白書は説きます。さらに新コロナ禍で脆弱性が露呈したサプライチェーンは、様々な分野の中でも、特に重要な検討対象と位置付けられています。

3.Coupa:不確実性の時代に回復(レジリエンス)力を構築する3ステップ

そのような中で、Coupaです。

新コロナ禍を契機としつつ、現在を「不確実性の時代」と捉えています。「2020ものづくり白書」と同じような認識を持ったうえで、企業の支出管理の観点から何をなすべきかの3つのステップを提示してきました。ものづくり白書の3つに完全に一致するわけではありませんが、ここにも類似性があります。そしてそれらをまとめて、「不確実性の時代に回復力(レジリエンス力)構築するフレームワーク」として発表しました[11][12]。どのような内容なのか、概観してみましょう。

Building Resilience Toolkit & Framework

(1).支出の即時の可視性とコントロールを得る

最初のステップは、「優先順位#1:即座に支出を可視化し、コントロールする」です。

景況感が悪化している現状では、「トップライン(売上)の成長からボトムライン(利益)のコントロールへ」へと移行すべきことが、まず指摘されます。特に新コロナ禍の景況感の悪化から、経営マネジメントが支出削減への意識を強めていることが、PwCが「CPO緊急調査(Pulse Survey)」の結果を引き合いに出しつつ示されています。

では支出削減には、何が必要なのでしょうか。

まず現状を明らかにすること、すねわち支出を可視化することが、その第一歩です。しかしそこでは、一律にコスト削減を強いるのではなく、「ビジネスの混乱を最小限に抑えながら、どのようにコストを削減できるか?」を考えなければなりません。そのためにも、現状支出がどの品目で、どの部門で発生しているのかを把握することが重要になります。そして削減余地を図りつつ、優先度に応じた対応を考案せねばなりません。その上で、購買ルール(業務統制)の徹底を進め、不要な支出を削減することが必要になります。

しかしデータで現実(事実)が把握できていなければ、厳格かつ適正な判断はできません。データ(事実)の把握は重要になります。

(2).サプライチェーンリスクの可視化・軽減

このように社内の無駄な支出を止めた(止血した)後、次に目を向けるのは、サプライヤーおよびサプライチェーンです。直接取引先サプライヤーに供給リスクが存在しないか、そのサプライヤーの経営面に不安がないかの「サプライヤーの健全性(Supplier Health)」は、まずチェックすべき事項です。加えて、サプライヤーの先にあるTier-nサプライヤーまで、購入対象(モノ・サービス)によっては確認を行っておく必要があります。しかし現状把握でとどめるわけにはいきません。今後発生するリスクを検知する方式も検討しておく必要があります。そしてこのように検出されたリスクには、解決を図っておく必要があります。またサプライヤーとの契約内容にも、リスクが潜んでいることがあります。契約リスクの生む確認も必要となります。

(3).適切なタイミングで投資する俊敏性を高める

このような当座のリスクへの対応と並行して、今後の変革に向けた投資を適切なタイミング実施し、業務を変容させていくことも重要です。景気が回復したら、適切なタイミングで“攻め”の対応を行える準備を、今から行っておかねばなりません。その対応策の1つは、サプライヤーミックスやサプライチェーンの柔軟性の再点検です。所在地などに応じて見直しを行う必要があるかもしれません。また、調達先の多重化や安全在庫確保などによるサプライチェーンの冗長性も検討しなければなりません。さらには、これを機に自社人材で行ってきた業務の外部委託化などを検討することなども取り上げられています。

このように、Coupaは新コロナ禍の後(Post COVID-19)を見つめた対応策のフレームワークを、他のベンダーに先駆けて提起してきました。緊急対応頻発の初動期であれば、このような検討を行う余裕はなかったかもしれません。しかし「モグラたたき」期に入った今、余裕も芽生え始めています。Coupaの取り組みステップは、経済産業省のものづくり白書で提唱されている3つの観点とも通じるところがあります。そのような意味で、Coupaの動向を把握しておくことは有用と考えます。

※Coupa Japanホームページよりダウンロードできる資料(eBook)「不確実性の時期における回復力の構築」は、少し日本語訳に難があるようです(差し替えに時間を要している様子です)。Coupa Japanに問い合わせれば、改訂版を提供いただけるとのことです。

6.CoupaのWebセミナー: 不確実な時代に支出を見える化する10の方法

このような中で、このほどCoupa Japanから「不確実な時代に支出を見える化する10の方法」というタイトルでWebセミナー(Webinar)開催することが発表されました。以下のように開催案内されています。Webセミナーの視聴は無料で、セミナーには使い勝手に定評があり、わかりやすいと評判があるCoupaの操作デモも含まれるとのことです。情報収集のためにも、参加の検討をしてみてはいかがでしょうか。

タイトル:「不確実な時代に支出を見える化する10の方法」

日時: 2020年7月16日(木) 16:00~17:30
アマゾン感覚で使える世界評価No.1の調達・購買・請求クラウドソリューション、クーパ(Coupa)のライブデモ(無料)に参加してみませんか? 90分間のインタラクティブなセッションでは、「不確実な時代」の支出低減をクーパ活用でどのように実現できるのか、コア機能の調達・購買・請求プロセスをオンラインデモにてご説明します。併せて、経営層にクーパ導入を説得するための定量効果算定の無償サービスもご紹介します。

目的:
・クーパの中核機能で何ができるのか、90分で概要を掴めるオンラインセミナーです

対象:
・購買システムの刷新をご検討中の購買部門、IT部門、経理財務部門
・購買業務のデジタル化をご検討中のデジタル化推進担当部門
・購買システムの刷新の投資対効果を経営層に説明する企画部門

なお、誠に申し訳ありませんが、弊社パートナー企業様、競合企業の参加はご遠慮いただいております

こんなお悩み・興味をお持ちの方にお薦めです:
・導入に向けて全世界でNo.1評価とされる最先端の調達・購買クラウドを見てみたい。
・購買業務改善のKPI把握や、節減アクションの進捗がわからない
・現在の購買システムの使い勝手が現場には不評で利用率が上がらない
・自社、サプライヤー双方の在宅勤務体制を見据えて、発注書や請求書などの処理を電子的に完結させたい
・他社はどう調達コストを下げているのか、事例を知りたい
・様々なプロジェクトが中止、遅延となる中で、支出管理の投資対効果を示して経営層を説得したい  …等

申込先:
https://get.coupa.com/Japan_Coupa_Live-Webinar_29July20.html

Reference:

[1].「購買ネットワーク会オンライン講演会(第一回):供給クラッシュ(巨大不測事態)対応」(2020年4月27日)に基づいて、前半分を作成
[2].「供給クラッシュ~全体破断状況にいかに対処すべきか(前半)
書籍「大震災のとき! 企業の調達・購買部門はこう動いた(日刊工業新聞社)」収録分には、筆者が意図しない追記がありますので、原本として上記を参照ください。
[3].”Commentary: Supply-Chain Risks From the Coronavirus Demand Immediate Action“, Yossi Sheffi,Feb. 18, 2020, Wall Street Journal
[4].”The Power of Resilience: How the Best Companies Manage the Unexpected (The MIT Press)”, Yossi Sheffi, Sept. 15, 2015 も参照のこと
[5].”Responding to coronavirus: The minimum viable nerve center”, Mckinsey Co., March 16, 2020
[6].”Supply-chain recovery in coronavirus times—plan for now and the future“, Mckinsey Co., March 18, 2020
[7]「調達正常化、相次ぎ前倒し、車生産回復へ総力戦3ヵ月」(2011年6月12日,日本経済新聞)
[8]「大震災、仕入れ先を優先: 仕事人秘録 アイシン精機相談役、伊原保守氏(3)」(2019年4月8日,日刊工業新聞)
[9].” Are You Prepared to Manage a Whack-A-Mole Recovery?”, Yossi Sheffi, April 27, 2020, Supply Chain management review
[10].「2020年版ものづくり白書」,経済産業省,2020年5月29日
[11].「不確実性の時代における回復力の構築」, Coupa Japan
[12]. Coupa Resilience Hub – Framework and Toolkit, Coupa